アリは、餌をせっせと運んでいる姿しか見たことがないので、実際は7割が働いてないと知ってびっくり仰天。しかも、働いてないアリが、たいへん重要な役割を果たしていると知って、さらにびっくりびっくり仰天。

イソップ童話「アリとキリギリス」で、けなげな働き者として描かれるアリ。実は「7割は休んでいて、1割は一生働かない」という最新知見を紹介し、30代から40代のサラリーマンの心を躍らせているのが、長谷川英祐著『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー・740円)です。震災後、働き方を見直す風潮がある中で、さらに売り上げを伸ばしています。

著者は虫に魅せられた進化生物学者。アリの生態を1日に7〜8時間、2カ月以上観察した結果、くだんの発見となりました。餌集めや幼虫の世話などの労働をほとんど行わず、ただボーっとしているアリたち。しかし彼らは働きたくないから働かないわけではない、と著者。いざとなったら偉大な力を発揮します。大量の餌を発見したり、巣が壊れるなど予想外の事態が突発すると、必要な数のアリが集まってきて対処します。また働いていたアリが疲労すると、今まで働かなかったアリが働き出します。働かないアリを抱えていることは、非効率的に見えても、虫にとって集団を長期間存続させるための進化でした。

すぐに役に立たない基礎科学を研究する自分こそ「働かないアリ」だと称する著者の自負と温かさが染みる一冊です。(しんぶん赤旗2011/06/12付「背表紙」より)

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)



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