「時計遺伝子の正体」という本の紹介を読んだのですが、体のあらゆる器官に時計細胞があったり、数千種類の時計遺伝子があるなんて、体の中は時計だらけなんですね。もう、本当にびっくりしました。



外界から隔絶し、時刻の変化がわからないようにした部屋のなかで生活する人の実験をテレビで見たことがあります。その人は、外の時刻とは少しずつずれていくのですが、だいたい24時間周期の生活をしていました。

時計がなくても、このように規則的な生活ができるのは、私たちが体のなかに「体内時計」をもっているからです。海外旅行をしたときに体験する「時差ぼけ」は、体内時計と、旅先の時計とのずれが原因で起きるといいます。

この体内時計は体のどこにあるのでしょうか。本書によると、体の20カ所以上のいろいろな器官について「時計細胞」をもっているかどうかを実験で調べたところ、男性の精巣を除いて、調べたほとんどの場所に時計細胞があることが確認されました。

「心臓では心臓の時計が、肺では肺の時計が、筋肉では筋肉の時計がそれぞれのリズムを刻み、その働きをコントロールしていることがわかったのです」

しかし、いくつも時計があると、それぞれの時計に必ず「ずれ」が生じます。いろいろな時計のずれが大きくならないように全体を制御している体内時計が脳にあります。目の奥の部分に位置する「視交叉上核(しこうさじょうかく)」がその働きをしていることがわかってきました。

視交叉上核から体の各部に時刻を伝えるのに、神経を通して電気信号による方法と、
血液を通してホルモンを送る場合とがあることもわかってきたといいます。

遺伝子のなかに24時間のリズムを刻みながら働いている遺伝子が存在していることがわかり、体内時計の研究は、ここ10年足らずの間に急速に進展しました。これまでの研究で、中心的な働きをする時計遺伝子が約20種類見つかっていますが、実際に24時間のリズムを刻んでいる遺伝子は数千種類あると考えられています。

時計遺伝子の研究は現在最先端の研究のひとつです。本書は、その研究の到達点を、わかりやすく伝えています。

(しんぶん赤旗2011/05/29付 サイエンスライター・前田利夫)

NHKサイエンスZERO 時計遺伝子の正体 (NHKサイエンスZERO)



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